namecard128_128平成28年10月1日に犯罪収益移転防止法改正(犯収法)が施行されます。今回は犯罪収益移転防止法改正の海外FXへの影響について解説します。

犯罪収益移転防止法改正とは?

犯罪収益移転防止法とは、犯罪による収益の移転(マネーロンダリング)を防止することを目的とした法律

のことを言います。

犯罪収益がマネーロンダリングされてしまうと

  • 健全な経済活動への悪影響
  • さらなる犯罪行為の資金源となってしまう
  • テロ行為の資金源となってしまう

影響があるため、法律で規制しているのです。

犯罪収益移転防止法改正の背景

主要先進国で構成されているマネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策の国際的な枠組みである FATF(FinancialAction Task Force:金融活動作業部会)による顧客管理措置等の深刻な不備事項の指摘

が大きな理由となっています。

国際的に大きな問題となっているのがテロへの資金供与ですが、日本はテロの危機感が薄い為、金融機関などの顧客情報管理が不十分と国際的な機関から見なされていて、かつ平成20年に指摘されてから改善が見られないという声明を公表されてしまったのです。

言われてから直すという日本人の悪いところが出てしまっている法改正なのですが、テロの脅威が世界中で拡大している中で、今一度マネーロンダリングへの対応を厳格にするために改正されるものです。

犯罪収益移転防止法改正の内容

1.特定取引の対象拡大

犯罪収益移転防止法では、顧客のなりすましなどの行為があった場合には確認・記録が金融機関に課されていたのですが、その範囲が拡大します。

現行法

  • 取引の相手方が顧客等になりすましている疑いがある場合
  • 取引時確認が行われた際、取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等である場合

今回の改正

  • 取引の相手方が顧客等になりすましている疑いがある場合
  • 取引時確認が行われた際、取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等である場合
  • 疑わしい取引
  • 同種の取引の様態と著しく異なる様態で行われる取引

つまり、通常と異なる取引、例えば「多額の一時払い保険を短期で解約するケース」などが起きた場合に、都度取引について確認、記録する必要があるということです。

2.本人確認の厳格化

今までは、銀行口座の開設時に「健康保険証」などを提示しても、本人確認書類として認められていました。

しかし、今後は「顔写真付きの本人確認書類」が必要になるのです。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード(個人番号カード)
  • 旅券(パスポート)

などがこれにあたります。

「顔写真がない本人確認書類」の場合は、単独では本人確認書類として機能せず、別の本人確認書類(印鑑証明書、戸籍謄本、住民票の写し) の提示、または現住居の記載がある公共料金の領収書等の提示など追加で書類を提出しなければいけないのです。

「顔写真」をしっかり確認することで、顧客なりすましによる口座開設などを防ぐ思惑があります。

3.法人取引の代表者確認の厳格化

法人取引では、社員が社員証などを提示して取引を行うことが今まではできました。

改正によって

  • 社員証などの身分証明書が法人取引では使えなくなります。
  • 登記事項証明書に役員として登記されている方であっても同様です。

法人取引では、その方が代理人の権限があるかどうかについて、委任状などの書類、もしくは当該法人への電話確認が必要になるのです。

4.法人の実質的支配者に対する確認の厳格化

法人の実質的支配者がいる場合には、し、その方の本人特定事項の申告が必要になります。

法人の実質的支配者とは、 法人の議決権の25%超を直接または間接に有している自然人のことです。

5.外国政府等において重要な公的地位にある方(※過去にその地位にあった方)及びその家族の方並びにこれらの方が実質的支配者である法人についての確認の厳格化

既に本人特定事項等の確認が行われていても、新たに別の預金口座の開設などを行う場合には、 再度確認が求められます。

200万円を超える財産の移転を伴う取引を行う場合は、再度の本人特定事項等の確認に加え、資産及び収入の状況について書類(源泉徴収票、預貯金通帳等)での確認が求められます。

犯罪収益移転防止法改正の狙い

改正内容を見てお分かりの通りで

  • 顔写真付きの本人確認を行うことで「なりすましによる口座開設」を防ぐ
  • 法人の社員が法人取引をする場合に社員証をNGにすることで「社員であることを偽って取引すること」を防ぐ
  • 法人の実質的支配者の確認を厳格化することで「反社会勢力」の犯罪収益目的の金融取引を防ぐ

というような目的があります。

海外FXへの犯罪収益移転防止法改正の影響

ほとんどありません。

世界的にはこのぐらいの本人確認は標準ということなのです。

実際に海外FX業者の場合も、口座開設時には

免許証 or パスポート

住所確認書類(直近6か月の公共料金等の支払)

などを提出してるかと思います。

しかも、1年ぐらいごとに住所確認書類が古くなったので、新しく提出してくださいと言ってくる海外FX業者も少なくありません。

また、海外FX業者は日本の企業ではないので、犯罪収益移転防止法改正の影響は受けないのです。

国際決済サービスの本人確認方法に改正の影響がある

海外FX業者自身は影響はありませんが、海外FXで利用する国際決済サービスには影響があるようです。

ネッテラーは10月1日から

「マイナンバー証明書と住所確認書類をご提出いただく必要がございます。」

として本人確認の厳格化を告知しています。

国際決済サービスは世界中でネット環境があれば利用できるバーチャル銀行ですから、マネーロンダリングの対応としては、金融庁からも目をつけられてしまう存在と考えられます。

そのため、海外企業であっても、日本企業と同様に犯罪収益移転防止法改正に適した本人確認を依頼されているのだと推察されます。

まとめ

犯罪収益移転防止法改正は、普通に海外FXをしている方にはほとんど影響はありません。

ただし、今後は国内、国外問わず写真付きの本人確認書類がベースになることが予測されるため、マイナンバーカードなどを持っておくことも、考えておくと良いでしょう。